大会長挨拶
日本咀嚼学会第37回学術大会 開催にあたり
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大会長 小林 琢也 岩手医科大学歯学部 歯科補綴学講座 有床義歯・口腔リハビリテーション学分野 教授 |
このたび、特定非営利活動法人日本咀嚼学会第37回学術大会を、2026年9月19日・20日の二日間にわたり盛岡市民文化ホールにて開催させていただく運びとなりました。岩手での開催は長い歴史の中で初となります。このような貴重な機会を賜り、大会長を拝命いたしましたことは誠に光栄であり、その責務の重さを感じております。ご推挙くださいました増田裕次理事長をはじめ、理事の先生方、会員の諸先生方に、心より御礼申し上げます。
本大会のテーマは、「咀嚼することの大切さを学び直す」といたしました。咀嚼は、生命を維持する「食べる」という営みを支える根源的な機能であると同時に、栄養、成長発達、健康寿命、そして生活の質(QOL)と深く関わっています。近年、オーラルフレイルや栄養障害、フレイル・サルコペニアとの関連が明らかとなり、咀嚼機能の評価・回復・維持・育成は、歯科のみならず医療・福祉・教育の領域においても重要なテーマとなっています。
咀嚼を「治療の対象」として捉えるだけでなく、「生涯を通じて育むべき機能」として捉え直すこと、また、「適切な咀嚼とは何か」を改めて問い直すこと、これこそが本大会のもう一つの狙いです。小児期における食習慣と顎顔面の発育支援、成人期における咀嚼機能評価と補綴・修復医学の進展、高齢期における口腔機能管理とリハビリテーションの展開、それらは連続した一つの流れとして統合的に議論されるべき課題といえます。
本大会は、学際性を特徴とする本学会の理念を継承しつつ、基礎研究から臨床応用まで幅広い視点から「咀嚼の本質」を改めて問い直します。ここ岩手は、高齢化率が全国的にも高い地域であり、地域医療における口腔機能支援の重要性を発信する地として大きな意義があります。本学術大会が、新たな学術的視点と臨床的実践の融合を促し、次世代を担う研究者・臨床家の育成につながる場となることを期待しております。
多くの皆様のご参加とご発表を心よりお待ち申し上げます。本大会が、新たな学びと交流が生まれる場となり、咀嚼の未来をともに創る契機となることを願っております。


